ザ・バーゲンズ、24年ぶりのフルアルバム『The Bargains Ⅲ』が、2025年2月にフィジカルCDの形でリリースされましたが、皆さまはもうお聴きになりましたでしょうか?
・・・えっ!? まだ聴いてない!!?
「アタイは、最新のK-POPと、ズブズブのヒップホップしか聴かないわよん」と言っている、そこのレディース&ジェントルメ~ン!!
どうか、今すぐ、聴いておくんなまし。
以下のKOH-GEN RECORDSにて注文ができますよってに。
https://kohgenrecord.thebase.in/items/101461556
「わては、古今亭志ん朝の落語CDしか聴かへんっ!」
からと言って、この聴けば聴くほど味がでる世紀のスルメアルバムを聴かないなんざぁ、一世一代の大損ってやつでさぁ!
そりゃもう、Kinks『Muswell Hillbillies』や、Billy Nicholls『Would You Believe』、Ray Thomas 『樫の木のファンタジー』にも匹敵する、味わい深~い『The Bargains Ⅲ』は、英国的庶民派奇天烈楽団たる、ザ・バーゲンズの神髄が、こ・れ・で・も・か・と詰まった一枚!
こいつを聴かずして、お天道様に顔向けできるかってんだい! てやんでぃ!! ばろ、チキショウ!!!
・・・すいません。取り乱しました。『The Bargains Ⅲ』を聴くたびに取り乱してしまうんです。ワタクシ。
そんな『The Bargains Ⅲ』の楽曲群を、恐悦至極にも、私的にご紹介差し上げたい次第なんです。ハイ。
【収録楽曲解説】
※サブスク配信済み楽曲はプレイヤー埋込あり
- そんな国の誰かもリピしているかもしれない
ズンズンチャ、ズンズンチャ・・・。これは、サッカースタジアムとかで皆がやる、あの有名なウィーウィルなロックユーするリズムに似ているが、それは気のせい。
SNSで世界中の人々が瞬時にお気に入りの音楽をシェア出来るようなった現在。そんなゴキゲンな世界でも、ウクライナや、パレスチナの惨劇の画像がバシバシ流れ込んでくる。悲劇と喜劇が混在する世界に、有無を言わさず放りこまれた我々はメンタルぐちゃぐちゃ。残酷だけれども美しい世界で生きていく。そんな悲劇の国の誰かも “Don’t Stop The Music” で ザ・バーゲンズのハーモニーで笑顔になっているかもしれない。
- Queen
スタッカート気味のピアノと、ブギロック風のギターリフが印象的なブリブリのブリティッシュ・ロック。ザ・バーゲンズの頭脳であり名コンポーザーの三宅氏が好きなバンド、クイーン(女王)に因んで生み出した一曲。世界観は映画『アリス・イン・ワンダーランド』の赤の女王のような暴虐の限りを尽くす、ドSな女性がモチーフ。そんなドSな彼女に、怖れおののき服従しつつも、心をつかまれてしまう男子という構図。
ちなみにギターソロは、ビー・バップ・デラックスのビル・ネルソンのようだ。
- 花園
こちらも、英国庭園が眼前に広がるジェネシス風ファンタジックなアレンジ。浮遊感のあるサウンドはコクトー・ツインズあたりも彷彿とさせる。ケルティックなバグパイプ風サウンドもGood。“籠から逃げた鳥” “翼たたんだ夜” 誰にでも訪れる立ち止まらざるを得ない期間。その苦悩の先には“いばらの呪文が解けたら花咲く、永遠の園” が待っている。1996年に結成したザ・バーゲンズが、活動30年を経て辿り着いた、永遠の園とは!?
- ヒノマル
ザ・バーゲンズは、大英帝国風でありながらも、れっきとした大日本庶民派デュオ。名曲「ジンセイ」にも通じる市井の人々応援ソングの「ヒノマル」。その精神性は、すべての人がヒーローで、すべての人がスターと「セルロイドの英雄」で歌ったキンクスのレイ・デイヴィス先生と共通するアイデンティティ。頑張って働いて、美味しい白い米を噛みしめたいのがニホンジン。いくら安くても、古古古古米なんてまっぴらごめーん!!!
- スーツケースはいらない
2025年の今では嘘だったようなコロナ禍。ロックダウンで誰も家から出られなかった。マスクをして誰が誰だかわからない。食事をするにもアクリル板ごし。おしゃべり禁止。移動禁止。旅行なんてもってのほか。毎日がぼんやりと過ぎて行った数年間が確かにあった。そんな束縛されたような毎日を打破して、Tシャツひとつ、足のむくまま、気の向くまま旅に出たい。そんな思いが詰まった一曲。
物理的な旅にでるだけではなく、年老いて保守的な考え方に凝り固まった自身の殻を破って、若い頃のようにいろんなことにワクワクしようぜっ!という“オッス、オラ悟空” 的な一曲。自由Love!!
- Groovy
ピート・タウンゼントも真っ青な超グルーヴィーな一曲、初めてライブで聴いた時は、お二人での演奏ながら、そのパンキッシュな楽曲にウサギ以上にぶっとびました。このスリリングなビートをリズム隊こみで聴けたらとの念願が叶った2023年のワンマンショー。アルバム収録のレコーディングバージョンのドラムもタイトなパブロック風で素晴らしく、ライブサポートでお馴染みの杉野寿之氏が叩いていると予想されます(間違っていたら超スイマセン 汗)。杉野氏は上野耕路の【捏造と贋作】にも参加している名ドラマー。田島氏の衝動的な感受性と、三宅氏の頭脳的なアンサンブルの妙味が、この一曲に詰め込まれているのだ。ヤヴァイっ!!!
- クレンザー ※CDのみ収録曲
2025年2月にリリースされた『The Bargains Ⅲ』は、その前年の2024年に4回にわたって3曲ずつサブスク配信の形でリリースされてきた楽曲集。しかし、今作にはこれまでリリースされていなかった楽曲も入っており、それが「クレンザー」と「ギリギリバンバン」の2曲だ。この曲は、四畳半フォークや、ムッシュかまやつの「我が良き友よ」にも通じる世界観。しかし下駄を鳴らしてやってくるのは、失恋を慰めに来た友ではなく、洗剤のセールスマンだったというオチ。“男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く”という言葉があるが、悲しい男やもめを慰めるにはもってこいの一曲。駆け出しバンドには出せない、まさにスルメ楽曲。
- ギリギリバンバン ※CDのみ収録曲
この曲も『The Bargains Ⅲ』で初出のレコーディング曲。『I’m home』収録の「モンキーパーク」にも通じるノリの良いナンバー。少々の悩み事は吹っ飛ばして、ギャンブルに一発ジンセイ大逆転をかけてみよう!という爽快な内容。ダルセーニョという競争馬がいるかどうかは定かではないが、ギャンブルに勝とうが負けようが、ヘイヘイヘイ!とへっちゃらに、笑って暮らしていきたいと思わせてくれる超ゴキゲンなナンバー。
- 繊細ハートが月に吠える
HSP (High Sensitive Person) とは、生まれつき感受性が高く、環境や人・物への刺激に敏感になってしまう気質。そして刺激に弱いのに人一倍刺激が欲しくなるのが、HSS(High Sensation Seeking)型。
そんな人々の事を繊細さんという名称で呼んで、昨今関連書籍が良く売れている。この曲に共感する人は、本当に共感しかないし、まったく共感できない人は、幾分か生きやすい人だろう。HSPは、誰も気にせず、誰からも気にされず、一人で焼肉を食べたいのだ!焼肉ライク最高!!「繊細ハあ”あ”トがっ」のコブシが何度聴いても最高だ。
- Sister Julia
このアルバムのリードトラックを個人的にあげるとしたら「Groovy」「Queen」と、この「Sister Julia」になるだろうか。宗教の教義は禁欲的で、時に人間の本能と矛盾したモノがある。恋愛を禁じられたシスターの内心を、田島氏が情感豊かに歌い上げている。この表現力は、昭和のJazzファンク歌姫しばたはつみに寺山修司が書いた「南十字星を撃て」に匹敵すると思っている。
- Survival
2020年、今からもう5年前だが、コロナ禍の影が忍び寄りはじめた。
誰も家から出られなかった時代。ライブハウスなんてもってのほか。「小さなライブハウスで、コロナが蔓延したらどうするんだ!けしからん!」と言った風潮に真っ向立ち向かった勇者が二人。その名もザ・バーゲンズ。
いきなりステーキを食べている最中にザ・バーゲンズがYouTubeチャンネルで家ステージ配信を始めたとの噂を耳にした。その《いきなりステージ》の一曲目に披露された曲が「サバイバル」だった。いわば、第三期バーゲンズのスタートを切った楽曲。鬱屈としたコロナ禍があったおかげでザ・バーゲンズのクリエイティビティに灯がついた。
災い転じて福となる。
- Sign of love
こちらも現代風テクノ四畳半フォークといった趣。往年のテレビドラマ『寺内貫太郎一家』のワンシーンで西城秀樹と浅田美代子が屋根の上でギターを弾くシーンがインスパイア元と三宅氏談。曲の内容は、とてもSF的。愛し合った二人は抱き合って死んで、宇宙人がその化石を発見して、二人で旅立って、死後の異世界を旅するファンタジー。
- Your song my song
古き良き70年代的グッドメロディ。三宅氏はこの曲を書き上げた時に、小さなオッサンの妖精が部屋に顕れて「グッジョブ!」と言われたとライブで語っていた(笑)その言葉どおり?とてもメロディックな素晴らしい楽曲。ギターソロも三宅氏のソロプレイの中では随一。ポール・マッカートニーが絶賛したカーペンターズの「Goodbye To Love(愛にさよならを)」でのトニー・ペルーソを彷彿とさせるギター名演だ。
あなたの歌、わたしの歌。
ザ・バーゲンズという、二人のソングライターが歌う。染みる。
- Hometown
ラストを飾る年末帰省ソング。NHKのドキュメンタリー「ドキュメント72時間」の「津軽海峡 年越しフェリー」の回が強烈に印象に残っていて、この曲を聴くたびにその映像が脳裏に浮かぶ。真冬の青森=函館間を年越しでフェリーで渡る人々。悲喜こもごもで神羅万象の人間模様。まさしくザ・バーゲンズの世界観そのものだった。誰もが胸に手を当てて、わがまま気ままなジンセイを少し後悔しながらも、テヘペロ感で許してちょんまげ。世間はそうそう捨てたもんじゃない。
・・・はてさて、どうでっしゃろ!?
超私情にまみれて、愚生なりに楽曲解説を試みたのだが『The Bargains Ⅲ』少しでも買いたくなった方がいらっしゃったら、これ幸い。
全14曲の【コメディ(喜劇)&トラジディ(悲劇)】が詰め込まれた世紀の名盤『The Bargains Ⅲ』、在庫わずかなフィジカルCDをゲットできるのは、今しかないかも!?
https://kohgenrecord.thebase.in/items/101461556
「ウォータールー・サンセット」ならぬ「墨田川の夕日」(もしくは、ご近所の川)を眺めながら、イロイロあるジンセイのBGMとして、是非、手元と枕元に足元に置いておきたい一枚なのデス!!
God Save the Bargains!!
God Save the Bargains!!
God Save the Bargains!!
2025.06.11
クイーン遺伝子探究堂







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