【総決算ライブレポート!】The Bargains ~秋のバーゲンセール in 真昼の月 夜の太陽~ 2023.10.7

さぁ さぁ さぁ さぁ
寄ってらっしゃい、観てらっしゃい!
本日限りのバーゲンセール
秋のいっせい売り尽くし!

歌うは世紀のポップデュオ
その名もなんと、ザ・バーゲンズっ!

今宵限りのワンマンショー!
しかもスペシャルバンド編成!

観なきゃ、損だよっ
聴かなきゃ、損だよっ
もってけ、どろぼーーー!!

・・2024年にデビュー25周年を迎えるザ・バーゲンズが去る10月7日に、都内にて一夜限りのワンマンショーを繰り広げた。

旦那を質に入れてでも観る価値のあるスペクタクルなショーケース。
当日は秋の気配を感じさせる、さわやかな土曜日。
夕刻、東新宿の明治通り沿いにあるライブハウス『真昼の月 夜の太陽』に、人生の酸いも甘いも聴き分けた耳の肥えたポップファンたちが陸続と集まり始めていた。

銀座の料理屋で、おいしいお酒と共に味わう小粋な料理に舌鼓を打つ“美食家”のような“美ロック家”とも言える、ジンセイ経験豊かなザ・バーゲンズファンの皆様が、固唾を呑んで今宵の開演を待っていた。


19時の開刻に、突如聴こえてきたBGM

「ヒツジガイッピキ・ヒツジガニーヒキ・ヨーレレ・ヨーレレ・ヨッヒッヒ~♪」

ライブ定番のオリジナル入場曲だ。

かつて、桂雀三郎 with まんぷくブラザーズが世に放った迷曲「ヨーデル食べ放題」や、オランダのプログレバンド、フォーカスの「悪魔の呪文」へのオマージュが含まれているかどうかは定かではないが、パッション溢れる彼らのステージの前菜として、聴衆の緊張感を和らげてくれる一曲だ(筆者はこの曲の公式リリースを待ち望んでいる)。

満場の拍手の中、登場したザ・バーゲンズのお二人(Vo,Piano:田島由紀子/Gt:三宅修一)
今宵はサポートとしてDrums:杉野寿之と、Bass:宍倉充 (断絶交流)が加わったフルバンド編成だ。

否が応でも、期待が高まる。


スタートを切った1曲目は「コメディ・アンド・トラジディ」。
1999年の彼らのデビュー曲であり挨拶代わりの代名詞的な楽曲だ。日本の伝説的プログレッシブバンド四人囃子の岡井大二氏がプロデュースを行った“クイーンみ”のある、高度でキッチュな名曲。

この曲からの始まりは、今宵が、デビューから25周年を迎えるザ・バーゲンズの総決算のようなセットリストになると感じさせ、いきなり聴衆のテンションはレッドゾーンに突入したのだった!

続く2曲目は、アットホームな名曲「I’m home」。
2010年のミニアルバム『I’m home』収録。ザ・バーゲンズの何気ない日常の一コマを切り取る、市井の人々へのあたたかい眼差しある歌詞が特徴的な一曲だ。
ザ・バーゲンズお二人の七変化が楽しめるPVも楽しいので見てほしい。


冒頭2曲を終えコロナ渦中に行った、配信活動のエピソードなどを紹介。
ここで三宅氏が未発表のジングル 「チャンネル登録よろしくね」 の鼻歌を披露した。
これまで数々のCMソングを手掛けてきた三宅氏だけあり、鼻歌だけでもキャッチーであり、その才は小林亜星に接近しているとさえ感じられた。

続いて、苦難の時代の応援歌とも言える「サバイバル」、さらに「ヒノマル」を披露。
どちらも公式未発表曲ではあるが、Youtube配信企画の“いきなりステージ”で聴くことが出来る。

ここで田島氏より、三宅氏の祝還暦の紹介が入る。
三宅氏いわく 「ロックは男の一生仕事!」 と宣言。

“The old man Are Alright”と言わんばかりの、ピート・タウンゼントばりの誓いをされていた。

「ジンセイの最終CODAだよ!」
「The Show Must Go Onだよ!」

とブリティッシュロックファンならではの、三宅氏らしいワードセンスも連発し会場は暖かな笑いに包まれた。

さらに第1部の後半へと曲は続いていく。

三宅氏がティーンネイジャーの時に作曲した「愛は死なないんだろう?」を演奏。
この曲は元々2001年のシングル曲「オレのショー」のCWナンバーとして初リリースされ、2022年発売のシングル『真夜中とギター』にも同じくCW曲として新録されている。

続いては、公式未発表曲の「Queen」。
クイーン遺伝子を探究している筆者にとっては目も眩むようなブリティッシュ・ロック名曲となっている。

ちなみに、この日、シルクハットをかぶって登場した田島氏。
シルクハットがこんなに似合う日本人アーティストは、ピンキーとキラーズか、田島氏しかいないと断言しておこう!

全曲が名曲のオンパレードなのだが、ここからの前半最後の畳みかけが凄かった!

ザ・バーゲンズ史上、最高のヒット曲となった「ジンセイ」。
関西圏のCMで使われたこともあり、大阪方面にもファンが多いザ・バーゲンズの、市井の人々への応援ソング。それはKinksのレイ・デイヴィスの眼差しに通じるものがある。

サンキュー・フォー・ザ・デイズ!!!

続いたのは「The song of a little viking」。
ミニアルバム『I’m home』収録の勇壮な船乗りのテーマ曲だ。ピアノからメインボーカルへと立ち位置を変えた田島氏の、パンクロッカー然とした熱唱に会場が興奮の坩堝へ―。

まるでこの会場が、パティ・スミスやラモーンズを生んだニューヨークパンク聖地CBGBなのではないか?
と錯覚を起こすかのような名演だった。

第1部の最後には特別ゲスト「占いおばさん」が急遽駆けつけ、胡散臭く、お節介な勧誘をして、足早に帰って行った(笑)。


第2部の1曲目を飾ったのはセカンドアルバム収録の「ゆうてんじ」。
目黒区というハイソサエティな地域にありながら、庶民的な飲み屋が軒を連ねる商店街がある祐天寺にふらりと行きたくなる名曲だ。

そして『I’m home』収録の「モンキーパーク」、完全未発表の「でこぼこみち」、禁断の恋を描く「シスター・ジュリア」と続く。

これらミドル・テンポのメロディアスなベースラインが生きる楽曲は、サポートの宍倉充氏(断絶交流)が何より心地よい。

続くMCでは、四谷に出没する名物おばちゃんの紹介。

「“イッツア・ファイナル・カウンタ~♪”というオリジナル曲を歌っている!」

という三宅氏に対して、会場やベース宍倉氏から

「それ、Europeの「The Final Countdown」ですよ!」

というツッコミが入り、会場は爆笑となった。
80年代北欧HR/HMの名曲であり、新日本プロレス武藤敬司の入場曲としてお馴染みの1曲だが、この曲を聴いたことがなかった三宅氏の音楽的志向が垣間見れたようで楽しい一幕だった。

続いて、今宵のハイライトとも言うべき「groovy」に突入。

この曲において、Vo田島氏は、反町隆子・尾崎豊子・忌野清志子の3人の人格を憑依させている。
本人含め、文字通り『四重人格=Quadrophenia』な名演となっており、まさにthe Whoへのオマージュが極まっていた。

「groovy」では、サポート杉野寿之氏のキース・ムーンを彷彿とさせる暴れドラム的アプローチも、とても素晴らしかった。

「groovy」の興奮冷めやらぬ間に披露されたのは「your song my song」。
youtube配信でのみ聴けるカーペンターズを想起させる名バラードだ。この曲での三宅氏のギターソロは神がかっており、ポール・マッカートニーが大絶賛したカーペンターズ「Goodbye to Love(愛にさよならを)」のギターソロを弾いたトニー・ペルーソが、三宅氏に憑依したかのようだった!

続いては、ザ・バーゲンズが発見した“皆が必ず一つになれるリズム”が登場する「そんな国の誰かもリピしているかもしれない」。
(このリズムをQueenが参考にしたとか、してないとか、してないとか・・・?)

第2部のラストを飾ったのは「真夜中のマーチ」。
ミニアルバム『I’m home』のラストに収録された感動的で壮大なバラードだ。
CDでは、ダン・ダカダダン、ダカダダン・・・というマーチ風のリズムになっており、個人的には杉野寿之氏のドラムでの再現が嬉しかった1曲でもある。


鳴りやまぬシュプレヒコールに、間髪入れずアンコールに突入。
2022年のシングル「真夜中とギター」と、
そしてパンクロック名曲「O.K」が奏でられ大団円を迎えた。

「O.K」は、セカンドアルバムに収録されたテクノ風な小品ナンバーなのだが、
ライブでは、三三七拍子を観客全員で手打したり、“OKですか?OK・OK!”とコール&レスポンスしたり、よりパンキッシュで盛り上がる形に変貌を遂げている。


以上で、アンコールも終わり、これで終刻、閉店ガラガラ・・・・。
のはずだが、まだまだ買い足りないお客様方。

“あんたも好きねぇ”と加トちゃんばりに披露してくれた最終楽曲は「レッドルーフ グリーンドア」。
この曲は、2001年のミニアルバム『Good Times Bad Times』収録の楽曲。ガーデンシェッドが置いてある枯れた英国庭園を思わすようなしっとりとしたブリティッシュ・フォーク楽曲となっている。まさに“美ロック家”好みの選曲で、秋の大バーゲンセールは総決算の時を迎えたのだった。



・・・・以上、ザ・バーゲンズ秋の大セールのライブレポートをお届けした。

デビュー25周年へと突入していく円熟のお二人にしか出せない阿吽の呼吸でのロックンロールには、もはや評論家どものジャンルづけやカテゴライズなどは一切不要だし、無意味だ。

ザ・バーゲンズが作り出した音宇宙に浸った幸せな2時間半。
そして、その後の多幸感は体験した人にしか味わえない感覚だろう。

ザ・バーゲンズのふたりは、
“The old man Are Alright” と言いながら “中指立ててニッコリ笑う”。

そして、ザ・バーゲンズの音楽的冒険は、
まだ懲りない、まだ足りない、辞められない、ものがたり―――。

ひとまず、GOOD NIGHT・・・Zzz… 

2023.10.8
クイーン遺伝子探究堂 VARUBA

◆ Set List(真昼の月 夜の太陽 2023.10.7)

1 コメディ&トラジディ
2 I’m home
3 サバイバル
4 ヒノマル
5 愛は死なないんだろう?
6 Queen
7 ジンセイ
8 The song of a little viking
9 占いおばさん
10 ゆうてんじ
11 モンキーパーク
12 でこぼこみち
13 シスタージュリア
14 groovy
15 your song my song
16 そんな国の誰かもリピしているかもしれない
17 真夜中のマーチ

アンコール
18 真夜中とギター
19 O.K
20 レッドルーフ グリーンドア

◆「The Bargains ワンマンショー」~秋のバーゲンセール~ 
※2週間はツイキャス見逃し配信あり!(10月21日まで)

ツイキャスのリンクはこちらから

◆最新配信シングル 「連れて行ってホリデー」

◆The Bargains ホームページ/Xアカウント

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