2024年にデビュー25周年を迎えたThe Bargains。世界最小のブリティッシュ・ロックバンドの面目躍如たる第三弾シングル「Queen」(c/w「Your song my song」「繊細ハートが月に吠える」)が6月19日に配信リリースされた!
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この「Queen」という楽曲は2022年の3月にYoutubeチャンネル《いきなりステージ》に突如アップされたブリブリのブリティッシュロックアンセムだ。
このスタッカート気味のピアノの連符が跳ねる、黄金のブリティッシュ・リズム。ポール・マッカートニーやQUEENが多用した音楽スタイルでもある。
先日その全貌が明るみに出た『One Hand Clapping』にも収録されたポール・マッカートニー&ウィングスの「Baby Face」(元は1920年代のティンパンアレイのジャズソング)や、Queen永遠の名盤『オペラ座の夜』収録のブライアン・メイ作曲のラグタイム風楽曲「Good Company」のような、小気味よい、遊園地で演奏されていそうなワクワクするような感覚を、The Bargainsの最新曲「Queen」からも感じてならない。
まさに1970年代中期のイギリスの音楽シーンは、1920年代頃のビックバンドジャズなどのカルチャーをリメイク・リモデルする、モダーンポップ/グラムロックの大きなムーブメントが巻き起こっていた。ビバップ・デラックス、10CC、ロキシーミュージック、スパークス等、当時の英国の先鋭的なアーティストたちは挙って、1920年代ごろの洒落た伊達男と退廃的なイメージを具現化・音像化して魅せていた。The Pasadena Roof Orchestraなどは、1920~30年代のドイツのスイングジャズを1970年代に蘇らせた極めてモダーンな楽団だった。
70年代後半の日本でも細野晴臣やゲルニカやムーンライダーズが、一部このモダーンな戦前への回帰趣味を取り入れ、都会の大人のポップスの様相を作っていた。The Bargainsが2024年に発表した「Queen」というシングルには、幾重にも英国音楽の連綿たる躍動が感じられ、深くブリティッシュ音楽を愛好している音楽ファンであればあるほど、The Bargainsの音楽性に心打たれる事は必定なのである。
更に言及すると、シングル「Queen」には、2000年代以降のJ-POPの中でより濃くブリティッシュ風味を醸し出した楽曲との共通項も見て取れる。2023年11月に惜しまれながらこの世を去ってしまった聖楽、KAN氏の「Happy Time Happy Song」(1999年発表)も英国ポップスをJ-POP風に焼き直した超絶名曲だ。
また、木村カエラが、蔦谷好位置氏の作曲の元2007年に発表した「SWINGING LONDON」も、心躍るブリティッシュロック風アンセムの名曲だ。
これらの小気味よいピアノの連符から始まるリズムは、日本人の中のブリティッシュロックのDNAに刻まれている感もある。The Bargainsの新曲「Queen」から想起される英国音楽への追憶には、英日の音楽シーンのどちらからも枚挙に暇がない。
そのブリティッシュロック愛を感じるサウンドもさることながら、歌詞の世界観はルイス・キャロルの不思議の国のアリスにも通じる。もはや、シルクハットをかぶって、ブリティッシュ・ショートヘアの猫ちゃんをナデナデしつつ、イングリッシュスコーンを食べつつ、アフタヌーンティーをキメながらThe Bargainsの「Queen」を聴けば、もはやそこはバッキンガム宮殿の庭園になるのだ!
このすべてのブリティッシュロックファン、否、全世界の音楽ファンに聴いてほしい「Queen」は好評配信中!旦那と上司を質に入れてでも聴いて頂きたい!!
(※カップリングの「Your song my song」「繊細ハートが月に吠える」も、めちゃくちゃ素晴らしい楽曲なのだが、紙面の都合上(?)またの機会に解説させて頂きます)
今後、この調子で3曲つづのシングルリリースを続け、The Bargainsにとってデビュー以来、3枚目となる待望のフルアルバムも後々リリースされるという。この期待と興奮と幸福がいつまでも続いて欲しいと願うばかりだ。
2024年6月26日
Queen遺伝子探究堂 Varuba