【ザ・ストラッツにクイーンを期待してはいけない!?】フレディ・マーキュリーの再来と言われるバンドの正当なる評価とはーー。

ザ・ストラッツ(The Struts)が2025年9月3日に、クイーンのブライアン・メイをフィーチャリングしたセルフカバー曲「Could Have Been Me」をリリースした。このニュースが流れ出してから、The StrutsファンもQueenファンも、何かの溜飲が下ったかのようなカタルシスを覚え、界隈が喜びに沸いている。

実際に、リリースされた音源を聴くと、どこを切っても、ブライアン・メイのレッドスペシャルがモリモリで、オーバーダブもしっかり施されていて、ダイナミックな中に丁寧な仕事ぶりを見せるブライアンそのものが詰まった見事なコラボとなっている!無論、ルーク・スピラーとの声質との相性も抜群だ!

Could Have Been Me (feat. Brian May) フルMV
Could Have Been Me (2014 MV)

ザ・ストラッツは、フロントマンのルーク・スピラー(Luke Spiller)の容姿やボーカル・スタイルがフレディ・マーキュリーを彷彿とさせるとして、2012年のデビュー当時より話題を呼んでいた。ルーク・スピラーの知名度が日本でも上がったのは、2014年のマイク・オールドフィールドとのコラボあたりからだったと記憶している。

その頃から、70年代フレディ・マーキュリーの妖艶な魅力を体現する存在として、日本のクイーンファン、ロックファンからも熱い眼差しが集まるようになった。クイーン遺伝子探究堂も、高純度なクイーン遺伝子バンドとして、デビュー時からザ・ストラッツには注目をしていたが、ルーク・スピラーのボーカルスタイルに当初感じたのは、ローリング・ストーンズをルーツとしたワイルドで原始的なロックのアトモスフィアだった。

Kiss This(2014)

70年代クイーンのサウンドスタイルの源流にはブルース臭を廃した、ラグタイム、オペラ、クラシック的な素養が強く顕れている(フレディの音楽的素養)。ブルース臭のしない《華麗で美麗なるロックンロール》を愛しているのもクイーンファンの特徴でもあり、私もその一人だ。

Queen – The Millionaire Waltz(1976)

そのようなサウンドの幻想を、ザ・ストラッツに求めてしまうのは、クイーンファンの身勝手なのだとも感じた。その期待により、クイーンを求めても(勿論)クイーンではないザ・ストラッツの日本での評価が落ち着かないのではないかと、超勝手に危惧を抱いたりもした。

2012年のデビュー以来、ルーク・スピラーは「フレディ・マーキュリーとミック・ジャガーの間に生まれた子」との評価を海外では得ている。日本でも2016年からサマーソニックの常連となり、その圧倒的なライブ・パフォーマンスに、日本の聴衆にも多大なインパクトを与え続けて行った。

個人的には、ザ・ストラッツ=クイーンという文脈への答えが、なかなか出せないまま、ルーク・スピラーの圧倒的な存在感には、抗い難い魅力を感じていた。

ザ・ストラッツの楽曲の魅力は、70年代Queenのオーバーダブを多用したスタジオ芸術的なモノではなく、70年代アメリカのニューヨーク・ドールズやエアロスミスのような、ブルースを基調としたハードなグラムロック感覚がしっくりくる。グラムロック風ながら、ハードロックのダイナミズムを体現した、70年代英国のストラップス(STRAPPS)には、ザ・ストラッツに通じるモノを強く感じてしまう。

Strapps – Child of The City (1977)

そんな、ザ・ストラッツには、クイーンファンの期待や幻想を満たしてくれるオリジナル楽曲が、いくつか存在している。

2018年の2ndアルバム『YOUNG&DANGEROUS』収録の「Tatler Magazine」は、オペラティックな歌唱や、ブライアン・メイを彷彿とさせるギターオーケストレイションなど、クイーンファンが喜びそうなアレンジを《あえて》行ってくれている、彼らなりの遊び心やサービス精神だ。

Tatler Magazine(2018)

また2017年にシングルリリースした「One Night Only」も、ザ・ストラッツの中のクイーン的な要素が結実した素晴らしい楽曲だった。

One Night Only(2017)

だが思うのは、ザ・ストラッツにクイーンを求めすぎるのは間違いだと感じる。クイーンをも包含した、ローリング・ストーンズや、エアロスミス的なハードなブルースロックの大きな潮流の最先端にいるバンドとしてザ・ストラッツを捉え直したいと、改めて思う。

2ndアルバム収録の「Primadonna Like Me」は、さながら現代の「Jumpin’ Jack Flash」だろう。

Primadonna Like Me(2018)
The Rolling Stones – Jumpin’ Jack Flash(1967)

がしかし、ルーク自身のルーツにフレディ・マーキュリーが居ることは、厳然とした事実であり、クイーン風味を体現してくれる彼らの心意気には感謝しかないし、その中で2025年9月3日、ブライアン・メイ御大とのコラボレーションが実現したという事は、ロック史の中でも、クイーン遺伝史の中でも、超絶エポック・メイキングな出来事なのだ!

鬼リピ確定っ!!!!!

2025年8月27日
The Strutsの日本での更なる活躍を願って
クイーン遺伝子探究堂


(PS:彼らにクイーン風味を求めすぎてはならないと言いつつも、ルークのQueenカヴァー映像も、並べて聴いてニンマリしたいのも事実なのである)

Bohemian Rhapsody
We Will Rock You
Don’t Stop Me Now 
Keep Yourself Alive
Under Pressure

Studio albums
Everybody Wants(2014)
Young & Dangerous(2018)
Strange Days(2020)
Pretty Vicious(2023)

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