ドイツ出身のメンバーによる、80年代風メロディアス・ハード・ロックバンド、VIOLET。
2022年にMARQUEE INC.より、国内盤デビュー・アルバム『イリュージョンズ~幻想美~』をリリース。煌びやかで、スタジアムロック風の鷹揚としたサウンドが日本国内でも話題となった。
そのVIOLETによる待望の2ndアルバム『Mysteria』が、2024年12月に遂にリリースされた(こちらは残念なことに国内盤は流通なし)。VIOLETのオフィシャルサイトからフィジカルCDが購入可能なのと、各ダウンロードや配信サービスでヒアリングが可能だ(リンクツリー)。

※フィジカルCDは、ドイツ本国のオフィシャルショップにて購入可能だ。
https://violetband.de/produkt/violet-mysteria-cd-jewel/
今作『Mysteria』も全作同様に、シンセサイザーや、重厚なハーモニーを主体にした80年代風AORメロディアスハードがこれでもかと詰め込まれている。フロントマンでボーカルを勤めるジェイミー・ベッカム(Jamie Beckham)は、20代のZ世代。当然、リアルタイムで80年代の音楽を体験していない。親世代が聴いていたレコードを幼少期に聴いて強い影響を受けた。
ジェイミーにもっとも声質や、ステージパフォーマンスとして近いアーティストはアメリカのHeart。70年代初頭から活躍しているHeartだが、やはり80年代のロン・ネヴィソンをプロデューサーに迎えたヒット連発の時期が、音楽ファンの記憶に鮮やかだろう。
しかし、VIOLETのサウンドに特筆すべき点は、その欧州っぽさだ。ドイツ産であることで当然ではあるが、アメリカを主な市場とするAOR風のメロディアスハードを標榜しながらも、スウェーデンのEUROPEや、オランダのZINATRA、ZINATRAからソロになったRobby Valentineの遺伝子がプンプンと香ってくる。
20代のメンバーが多いVIOLETのサウンドクオリティが高い秘密の一つとして、プロデューサーのアンディ・コンスタンダラス(Andreas Konstandaras)の手腕が特筆されよう。アンディはSpiral Towerというパワーメタルのバンドのギタリストで、1999年に『Mindkiller』というアルバムを残している。彼の緻密なプロダクションが、技量の高いVIOLETメンバーとの相乗効果を産み出だした。
また、今作『Mysteria』でのリードトラックとして数曲MVが公開されているので観てみよう。
先行配信となったスタジアム・アンセム風の「Angelina (Talk To Me) 」。ミドルテンポで伸びやかなシンセやブラスソロなど、一気に80年代にタイムスリップさせてくれる。
「Bad Dream」では、ハードなシンセとギターのリフが、的確にAORファン、メロディアス・ハードファンのツボを突いてくる。スリラー風のMVも80年代をオマージュしていて楽しい。
「Arms Around」では、よりスケール感のあるスローバラードとなっており、彼らのサウンド面での進化を一層感じる。
『Mysteria』には未収録となっているが、2024年初頭にリリースされたシングル「Calling For You」も素晴らしいプロダクションとなっているので、聴き逃せない。
「Calling For You」を含めたボーナストラックを豊富に用意した日本国内盤『ミステリア~菫の神秘~(仮題)』がリリースされる事を待ち望んでいる。
是非、日本国内でもVIOLET人気を底上げし、是非、2ndアルバムの公式プロモートと、来日公演を期待したい。未来ある若者が80年代という煌びやかなロック黄金期のサウンドをココまで高次元に再構築してくれている事に感謝しつつ、彼らの今後の活躍を大いに応援して行きたい。
否、日本の全メタルファン、音楽ファン総出で応援して行こうではないかっ!!!!
2025年1月吉日
Queen遺伝子探究堂