90年代初頭に咲いたアニソン世界の女性ハードロックボーカル特集!!

ようこそ、エクスペリメンタルな音楽空間へ――。

今回は、90年代初頭の日本アニソン世界に咲いたフィメールシンガー達にスポットを当ててみたいと思います。

90年代初頭はアニソン・ブームの幕開け的な様相を呈していたものの、現在のような商業的ブームとはまだなっておらず、ハイクオリティな楽曲と歌唱にも関わらず、一部の耳の肥えたアニソン・ファンに支持されるだけにとどまり、歴史の闇に消えた楽曲が多く存在していると感じました。中でも、80年代的なLAメタルや、産業ロック・ポンプロック風のサウンドに彩られた、女性シンガーの名曲が多い事に気がつきます。

僕も当時は子供でしたので、聞き流していたのですが、大人になった耳で聴いて見ると、80年代産業ロックの流れがここに結実している事は確かなのです。
また、小室サウンドやR&Bの台頭で行き場を失ったロッカー達が、アニソン世界に需要を見出したのも事実でしょう。

勇者シリーズの各テーマの中から5曲。そしてテッカマンブレードから1曲を取り上げて紹介してみたいと思います。

『勇者エクスカイザー』1990年~1991年


OPテーマ「Gatherway」
作詞:Azusa / 作曲:井上ヨシマサ / 歌:三浦秀美

80’sの香りが残る、シンセハードロックの典型。六本木心中的な昭和歌謡の匂いも残る。三浦秀美さんの歌唱も素晴らしい一曲。

『太陽の勇者ファイバード』1991年~1992年


OPテーマ「太陽の翼」
作詞:大津あきら / 作曲:YAMATO / 歌:鴨下泰子

少し相川七瀬っぽい、夢見る少女じゃいられない風な鴨下泰子の、ロックボーカルが魅力的な一曲。凝ったドラムワークがアメリカンプログレハード風だ。

『伝説の勇者ダ・ガーン』1992年~1993年


OPテーマ「風の未来へ」
作詞:山田ひろし / 作曲:井上徳雄 / 歌:佐藤有香

子供向けのアニメソングの典型ともいえる、佐藤有香の声もさわやかな楽曲。これは今のアニソンイベントでも是非聴きたいし盛り上がる一曲ではないだろうか。

『勇者特急マイトガイン』1993年~1994年


OPテーマ「嵐の勇者(ヒーロー)」
作詞:横山武 / 作曲:樫原伸彦 / 歌:岡柚瑠

今回のこの特集を書こうと思った、当時のフィメールアニソンの中では白眉とも言える一曲。曲のテンション、リズムギターのプレイ、シンセのうねり、どこを切っても80’sアメリカンプログレハードの輝きと、岡柚瑠のハードボーカルが渾然一体となっている名曲。

『勇者警察ジェイデッカー』1994年~1995年


OPテーマ「HEART TO HEART」
作詞:渡辺なつみ / 作曲:鶴由雄 / 歌:彩子

こちらも、ボーカルの彩子の少し擦れたような、高音ボーカルが魅力な一曲。少し陰のある彼女のような声が、希望と勇気の少年アニメのボーカルというがとても面白い。
この彩子さんはその後どのような活動をしているのかはまったく不明。90年代女性ロックボーカルとしてはとても、稀有な存在だったはず。

『宇宙の騎士テッカマンブレード』1992年~1993年


OPテーマ「REASON」
作曲・歌:小坂由美子 / 作詞:安藤芳彦

そして、勇者シリーズではないが、当時にフィメールアニソンシンガーの、オピニオンリーダーといっても過言ではないのが、小坂由美子ではないだろうか。
彼女の場合、そのハイセンスなボーカルセンスも去ることながら、作曲も手がける、シンガーソングライターであった。
テッカマンシリーズの多くの楽曲を手がけただけで、消えてしまった彼女だが、90年代初頭のアニソン世界に突如現れて消えてしまったきらめく才能は今でも多くの人の心を捉えて話さない。

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以上、魅力的な6曲をご紹介いたしました。

この当時のアニメソングでしか聴けない多くの実力派女性シンガーが多いのも、この時期の特徴。
潤沢な制作資金の中で、シンガーのオーディションも繰り返し行えたのでしょう。しかしその中から、現在まで活躍するアーティストが生まれていないのもちょっと残念な気がします。
アニソンアーティストのプロデューサーが当時はいなかったのかもしれませんね。

90年代初頭に咲いた、アメリカンプログレハード+アニソン+フィメールシンガーの科学反応は、まだまだありそうな予感がします。

クイーン遺伝子探究堂
Varuba

2 comments

  1. 素晴らしい特集・・・当方30台ですがこの当時のような女性シンガーのような歌声、音源はなんでこんなにいいんでしょうかね
    最近のアニソンはなんか今一合わないです

    1. kamisiro様
      コメント感謝です!この頃の女性シンガーは本当に瑞々しくて素晴らしいですよね。僕も30代後半ですが、リアルタイムではほぼ興味はなかったんです。ロックに目覚めて、聴きこむうちに、ココにたどり着きました。ピュアなハードロックのエッセンスがありますね。小坂由美子さんなどは本当に復活してほしいです。

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