New Englandの「Nothing To Fear」という曲の進化と真価についての考察。

70年代のアメリカで活動をしていたニュー・イングランド。プログレッシブハードや、メロディアスハードといったジャンルに分類されるアーティストだ。多くの名プレイヤーを生んだが、このバンド自体は3枚のアルバムを残して自然消滅してしまった。

彼らの初期からの代名詞とも言える「Nothing To Fear」という曲がとてもキャッチーでポップ。ハードロックの枠には収まらないポピュラリティを湛えた楽曲だ。今一度、この曲の進化と真価を問うてみたいと、思うに至った。

① 以下の音源は75年前後、バンド名をTargetと名乗っていた時代のデモ音源だ。粗削りだが、曲の骨格やメロディやハーモニーの原型はすでに出来上がっている。印象的なガードナーのドラムソロや、ジミーウォルドーのキャッチーなシンセリフはまだアレンジに加わっていない。

② 続いて、ニュー・イングランドのVer。デビュー前夜の1978年のデモ音源。後半のドラムのハーシュ・ガードナーの精緻でダイナミックなドラムが特徴的だが、この時点でしっかり構成が完成している。

③ 同じく1978年に録音されたデモバージョン。リリースバージョンと比べるとアレンジや曲のテンポが違うが、ほぼ完成形で、コーラスなどが際立っている彼らの一番やりたかった形だろう。ジョン・ファノンのギターソロ、ガードナーのドラムソロ、ジミーウォルドーのシンセワーク、ゲイリーシェアのブンブンベース。どこをとっても隙の無いアレンジだ。


④ 1979年にKISSのポールスタンレーのプロデュースでリリースされたファーストアルバムに収録されたバージョン。よりドラマティックにはなっているが冒頭部分やリズムアレンジにかなり修正が加わっている。③のデモバージョンとこちら、どちらが好きかは人それぞれだが、個人的には③に軍配があがる。

⑤ そして2014年に再結成をした際にLiveで披露した模様。アレンジはリリースバージョンを踏襲している。

以上、ニューイングランドの「Nothing To Fear」という一曲はバンドの歴史と共に、彼らの魅力がこれでもかと詰まっている。キャッチーで、ポップで、ドラマチックで、ダイナミックで、緻密、ハードで繊細だ。

まだニューイングランドを知らないという音楽ファンは、この曲以外にも多くの名曲が存在するので、何でもいいから彼らのマテリアルを猛追して頂きたいのでR。

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