SPiRiTRiALという文字を初めて見たのは2014年頃だったと思う。
「スピリトラ・・??」大文字と小文字が入り混じり、なんて読むか解らない単語だ。
Twitterからのリツイートだったか、YouTubeを漁っていて偶然ヒットしたのか定かではないが、PCのスピーカーから流れ出した「ANTHEM」という楽曲に、息が止まる程感動した事を覚えている。
「日本語で歌っているので、日本のバンドなんだろう・・」
「どうやらメジャーデビューはしてないみたいだ」
「彼らの曲はどうしたら手に入るだろう?」
・・・情報が少ない。
「個人の方が、アップしている楽曲だろうか?」
「それにしてはクオリティが高すぎる。ハイブリッドなプログレとしても、歌モノとしても、これは世界水準だ!」
やっとの事で、Apple Musicで入手出来る事を知り即ダウンロード。
茜差す その前に
静かに走り出す
足音 呼吸だけが
夜空に溶けてゆく
迸る汗は いつか
心を研ぎ澄ます
やがて来る 太陽に
不信も 恐れも
脱ぎ捨ててしまおう
2014年の偶然の出会いから、2019年の今日のこの日まで毎日(2023年現在も!)
僕のスマートフォンのアラームは「ANTHEM」に設定されている。
毎朝、僕は、SPiRiTRiALで目覚めている。
この、絶対的にポジティブで、そして自己抑制的な感覚は、深い哲学を感じさせる。
人間不信に陥って、つい厭世的になってしまう日々から、毎朝、僕を救ってくれる。
暗闇に灯る一筋の光のように、今日を生きる勇気を与えてくれる。
「ANTHEM」とは、僕にとって、そんな曲なのだ。
先ほど本八幡ルート14にて、初SPiRiTRiALで初「ANTHEM」。
— Queen遺伝子探究堂 (@DNA_Queen) October 14, 2019
超圧巻のステージと演奏に、感無量でした😭 pic.twitter.com/tEGBeaZtZ0
そして、2019年、待望の2ndアルバム『SPiRiTRiAL』が発売された。
「Anthem -2019 album version」が入っているという時点で、小躍りする気持ちで到着を待った。
個々の詳しい楽曲説明などは、ディスクユニオンの商品ページに詳しい。
こちらの説明を読みながら楽曲を聴くだけで、彼らの音楽性の深さや、収録された楽曲への思い入れが伝わるだろう。
SPiRiTRiALの音楽性を、個人的に表現するならば、
“90年代にあったピュアネスとロックサウンドの進化を、時流を乗り越え、再構築してくれる”
という部分かもしれない。
90年代に青春時代を過ごした世代ならば、SPiRiTRiALの音楽に何らかのノスタルジーを覚えるかもしれない。それは、所謂、懐古趣味ではなく、ハイブリッドに再構築され洗練されたノスタルジーなのだ。
本来存在するはずのない、オーパーツのようなサウンド群ではあるのだが、実際耳にしたときに、90年代に僕らが思い描いた、ある種のユートピアのような、そこに突き進もうとする、熱量が、宿っている感覚がするのだ。
狂乱ではあったかもしれないが、確かに存在した90年代という時代。
厳然と存在していた熱量は、バブル崩壊~リーマンショック~失われた20年と、低迷した時代を生きてきた僕らの心の中で、いつしか風前の灯となっていた・・・。
2000年代から迷路に入ったかのような時代を、歯を食いしばって生きてた僕らを、高らかに全肯定してくれる。そんな感覚こそが、SPiRiTRiALの音楽の魂の柱になっている。
今回のアルバム『SPiRiTRiAL』 の一曲一曲には、きちんとしたストーリーがあり、コンセプトがある。
そこには、哲学があり、人々へのやさしい眼差しがある。
叙情性を湛えた楽曲、そして、ハイブリッドで骨太で繊細なロックサウンド。
これだけのアートを、アニメやアイドルの力を借りずに、パーマネントなバンド形態で2019年に発信できている事自体が、もはや、奇跡的と言えるだろう。
SPiRiTRiALが、多くの心あるリスナーに届いて欲しいと願う。
SPiRiTRiALが活躍してくれる事こそが、
風前の灯と化した、あの熱量を、僕らにリ・マインドさせる作業に他ならないのだし、
それこそが、1990年代から2019年を生きてきた、僕らにとってのレジスタンスなのだからーーー。
2019年吉日 クイーン遺伝子探究堂
VARUBA
2 comments