タブーを乗り越え、喜びも苦しみも、直球で表現するAMENOMANI2サウンド。

AMENOMANI2 (アメノマニマニ) を知っていますか?

彼らを初めて見たのは2021年11月、東新宿の小さなLIVEハウスにて。
別のバンドを見たくてフラッと立ち寄ったLIVEハウスでAMENOMANI2は演奏していた。

その時のパーソネルは、
イトウナホ(Key.Vo)/ ワサダ (Ba.)/ 永山かずみ (Gt.)/ 早川峻 (Dr.)
のメンバーだったと思います(ギタリストさんが違っていたらゴメンナサイ)。

歪みの少ないクリーンなギターサウンドはジェントルなエモ系。
タイトなドラミングは確実にサウンドの情景を描いている。
ジャコパス愛がビンビン伝わって来る開放された心地よいベース音。

演奏力はとても高く、Jazzやクラシックの素養を感じる静謐なグルーヴを彼らに感じた。
・・でもそれだけでは、数あるバンドの一つとして聴き流していたと思う。

ソングライティングを担うイトウナホの清廉な憤怒に満ちた歌声が、
大人になりきれない自分の、若き日のイノセントな苦みを、ぐりぐりと刺激して来た。

“なんとなく、amazarashiっぽいな・・”

「ジュブナイル」位しか聴いた事の無い僕だったけれど、何か似通った質感を感じ取った。

その日は、終電の時間もあり早々にLiveハウスを後にしたが、ジャリっとした何かが心に残り、後日、AMENOMANI2のサウンドを追ってみたが、これまで発表したシングル曲はどれも秀逸だった。

「叫び」

リバーブを利かせた歪みの無いギターが、浮遊感を演出する素晴らしいイントロ。

成長過程の中で、誰もが見て見ぬ振りをしてしまう、自己の未熟な情感。
それらを丁寧にすくい取って言語化が出来ている。

“誰かを殺したわけでもないのに、背後に感じる見張る視線”
“行き場のない、やり場のない、感情が渦巻いて”
“誰かの努力を自慢と解して、捻くれるにもほどがあるな”


それは過去の蓋をしてしまった自分自身に相対してる気がして、気恥ずかしくも強烈な共感を得た。
角洋介氏という映像クリエイターがMVを手掛けており、一遍の映画を観ているようなクオリティにも感動した。

サブスクで聴く事が出来るB面曲「fly away」は疾走する爽快なナンバー。

“誰もお前の完璧な生き方を期待なんてしてないのさ”

という突き放した歌詞は、息苦しく他人のミスを許せないマウント社会を生きる僕らにとっては、救いとなる。

「雨のまにまに」

この曲も苦悩する若者たちが描かれる美しい映像にユニット名を冠した曲がとてもマッチしている。理想の自分の姿と現実、なんとか自己を肯定して前に進もうとする救いを感じる曲。繊細な曲の情景を盛り上げるバンドアレンジもとても心地が良い。

「遠吠え」と言う曲ではジャジーで洗練されたメロディの中にガリっとしたRock魂を感じた。

“死にたいなんて軽々しく口にして、安っぽい人間になっていく”

孤独に押しつぶされそうな青年期、誰もが夜の暗闇に向かって、自己のアイデンティティを確かめる為に、見えない軽薄な何かに対して、吠えたことがあるはずだ。

・・・ AMENOMANI2サウンドはとても洗練されていて都会のホテルのラウンジで演奏されていても違和感はない。ただ、歌詞の中に青年の苦悩が色濃く滲み出ている。そのギャップに悶えてしまう。

太宰治を読み捨てて、所謂大人になったと自負している人間には、興味のない世界かもしれない。
世の中をある程度テンプレート化でき、要領よく生きる人は少なくない。
またそういう人間が重宝される社会であることも確かだ。

でも、AMENOMANI2の歌の世界には痛々しい程の青年期の共感がある。
心から血を流しながら、誰もが生きていた、あの時代。
孤独と劣情と世の不条理に対する怒りと自己の不安定さに苦しむ青年を癒すのは、いつの時代も痛みを伴う共感でしかない。

AMENOMANI2のルーツを探すと、イトウナホのソロ曲にぶち当たった。

「心電図」

サウンド的にはAMENOMANI2に通じる洗練されたピアノポップだ。

“生まれたら、いつか死ぬ”

誰もが知っているけれど、若い日にこの事を真剣に考える人は少ない。
この人生の主題とも言えるテーマを歌う事は、ある種の宗教性を感じる。

人生ある程度歩いてきて悟り澄ました訳知り顔も板についてきたと感じる自分に

“平坦な道なんて、まだ早いぜっ!”

と憤怒を込めて後頭部を蹴ってもらったような、嬉しさ、爽快さを感じた!

生死、宗教、惰弱な自己をさらけ出す行為・・・
すべてのタブーが、目に見えない誰かが作った空気の中で醸成され息苦しさを感じる毎日。
正しさとは、
生きるとは、
人生とは、
死とは、
人は何の為に生きるのか、
自分は何者か、

その率直な問いを、堂々と歌に込めて、喜びも苦しみも、直球で表現するAMENOMANI2の歌とサウンドに、じっと耳を傾けてみて欲しい。

自分の中の、もっとのびのび生きたがっているけれど、
ぐっと声を押し殺してうずくまっている “こどもの自分” がニッコリ笑ってくれそうな気がするからーー。


2022年5月31日
Varuba

▼Twitterアカウント

AMENOMANI2 @amenomani2
イトウナホ(Key.Vo) @inaho_071111
ワサダ (Ba.) @wasadama

https://lit.link/amenomani2

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