【刹那の美学】 ~Sweet再考察~


本年(2016年)にSweetの70年代、紙ジャケ5作品がリイシューされた。Sweetの黄金期の作品は長らく廃盤や、版権の関連でリイシュー作業が遅れていただけに、全ブリティッシュハードファン・グラムロックファン待望のリイシューとなった。
リイシューに尽力された山田順一氏に改めて敬意を表したい。

“ヘヴィ・ハーモニー・ロックグループ”と、再現された当時のキャッチにあるように、他に類を見ない、ディコラティヴな4声のハーモニーは、Queenに肉薄するほどの輝きを放っており、ドライヴするロックチューンとも相まって、当時独自の存在を放っていた。

60年代のビートバンド時代を経て、70年代のバブルガムポップ~グラムロック~ハードロック~ファンク・エレキトロポップと、様々なアプローチがあり、やや音楽スタイルの定義づけが難しいバンドでもある。
そのせいか、恐ろしいほどにコマーシャルなサウンド群にもかかわらず、類似のQueenほどの後年の評価には遠く及んでいないという事実もある。(QueenはSweetがキライだった。)

広告関係者は、まだまだ手垢のついていない、Sweetサウンドを消化すべきだ!・・と個人的には感じている。
そう、思っていた矢先、TVCMから映画『スーサイド・スクワッド』の宣伝で「The Ballroom Blitz (ロックン・ロールに恋狂い) 」が流れてきたので溜飲を下げた思いがした。

それでは、リイシューされた5作品の概要を紐解きながら、彼らの功績を辿ってみたいと思う。

① 『ライブ&ベスト』

こちらの作品はバブルガム期からハードロック期へと移行する、当時のライブ音源とスタジオ音源を組み合わせた作品だ。
ハーモニー主体ながら、ここまで荒々しいライブが展開できるものかという熱っぽい音源と、同時期のヒット曲を組み合わせているので、一番美味しい作品ではないだろうか。
前述の「ロックンロールに恋狂い」や「フォックスオンザラン」など代表曲も目白押しだ。
ちなみに「フォックスオンザラン」は、80年代のジャパメタブーム時に、MAKE-UPが王様ばりの日本語カヴァーをしているのでこちらも要チェックだ!!!

さらには「BLOCKBUSTER」を93年にすかんちと、イエローモンキーの吉井一哉(ロビン)がライブYヴァージョンでコミカルにカヴァーしている。

② 『甘い誘惑』

お次のこちらは、壁がウィンクする変形ジャケの再現も見事な、絶頂期のスタジオ作。ある種、スィートサウンドが完成された一枚と言って良いだろう。
ヒット曲の寄せ集め的な趣もあるが、初期バブルガムからグラム~ヘヴィロックの集大成の一枚としての頂点のような作品だ。
このアルバムからは、明らかにQueenを意識した「恋はだましあい(The Lies In Your Eyes)」が生まれている。

③ 『明日なき青春』

このアルバムから、サウンドエンジニアにQueen等の作品も手がけたルイ・オースティンが参加している。そのせいか、ぐっとサウンドの耳当たりが良くなっている。
時代的な過渡期の作品でファンク風味のある楽曲もあり、ハードロックからブラコンのアプローチをしたQueenにやはりそのスタンスが類似する。
ミドルテンポで凝ったサビのハーモニーが気持ちよい「星空の彼方(Stairway To the Stars)」もコマーシャルあふれる名ポップナンバーだ。

更に、今作収録の「Hard Times」は、すかんちのツェッペリン風ナンバー「ダイナマイト狂時代」の元ネタとしても有名だ。

④ 『甘い罠』

今作が、スィートの最高傑作と言ってよいだろう。またVoのコノリー参加の最後の作品という事で事さらに貴重な一枚だ。
これまでのバブルガム路線やグラム路線を封印し、バロック風の楽曲や、流麗なオーケストレーションを多用した楽曲、プログレ風味の楽曲など、実に多様なサウンドだ。
やや、持ち味を欠いたというキライもあるが、しっかり「ラブ・イズ・ライク・オキシジェン」というヒット曲も出しているあたりが抜け目がない。
優しく温かい「ドリームオン」のピアノラインと、コノリーのVoは芸術的で、これまでの彼らには全くなかったアプローチの名曲だ(英国版では1曲目!))

⑤ 『標的』

コノリー脱退を受け、残る3名によって制作されたアルバム。これまでになくハーモニーが全面に出ており、まるでELOやビージーズのような、実に小気味よいモダーンなポップアルバムに仕上がっている。79年という時代が実によく反映されている好盤だ。サウンドのマイルドさや、ギターの音処理も、Queenに肉薄している部分が多い。
シングルカットされた「マザー・アース」は壮大なテーマと、劇的な展開がとても気持ち良い楽曲だ。

※個人的にはこれ以降のSweet作品はサウンド的にとても面白いので更なるリイシューを期待したい。

これら、5作品の後にSweetは『Waters Edge』(80)を発表。
そのアルバム収録の「Sixties Man」のシンセラインがすかんち「レターマン」の元ネタとなっており、この時期のSweetをフォローしているRollyはさすがだと思う。

そして最後に『Identity Crisis』(82)を発表し、解散へ至った。


以上、今年2016年にリイシューされたSweetの紙ジャケ作品を追ってきたが、黄金期のはち切れんばかりの勢いと、過渡期へと向かうバンドの妙味がなんとも味わい深い。

数多くのヒット曲と織りなすハーモニーの中に、バンドの生き様と使い捨てのポップサウンドがシンクロしており、
消費社会の影に潜んだ人間ドラマに、つい思いをはせずにはいられないのだ。

まさに、
“ロックンロールに恋狂い、明日なき青春の甘い罠にひっかかり、更に甘い誘惑で、標的を見失ってしまった僕たち”
を体現したような、バンドじゃぁないか~(*´▽`*)

さぁ、刹那の美学を貫いたSweetを、君も僕も再評価しようではないか!!!!

2016.10.08
Varuba

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