『ROLLY’S ROCKROLLY』を1000倍味わう為に~クイーン遺伝子度200億%の全宇宙激震サウンド~


 ROLLYのソロデビューアルバム『ROLLY’S ROCKROLLY』は、1996年9月21日にソニー・ミュージックレコーズから発売された。すかんち解散(活動停止)と同年の作品で、傑作の誉れ高いすかんちの6thアルバム『DOUBLE DOUBLE CHOCOLATE』の同一線上にある、ROLLYの音楽家としてのクリエイティビティが頂点に達していた時期の作品として最重要な1枚だ。

 2019年にキングレコードから発売された『ROLLY’S ROCK WORKS』のリリースインタビューで当時を振り返ったROLLYは「ソロデビュー作の1曲目に9分のロック歌劇「恐るべきロックローリー」を登場させた事でレコード会社の怒りを買いクビになった」と語っていた。

 ポップで短い曲をアルバム1曲目に配して、アルバムの売り上げを担保したいレコード会社と、自身のエッセンスを詰め込んだ楽曲を、ソロデビュー作の1曲目に持ってきたROLLYのアーティストシップとが激突したエピソードではあるが、売り上げに繋がらなかった事でレコード会社の失望を買ってしまったのかもしれない。(フレディ・マーキュリーの自伝映画『ボヘミアン・ラプソディ』でもマイク・マイヤーズ演じるレコード会社の重役レイ・フォスターが「6分もあるBohemian Rhapsodyをシングルで出すなんて!」とクイーンのメンバーと口論するシーンがあるが、そのようなやり取りはミュージシャンとレコード会社との間では常のようだ)

 そんな曰く付きの1曲目「恐るべきロックローリー」から始まる『ROLLY’S ROCKROLLY』は、商業的には奮わなかったかもしれないが、日本ロック史に燦然と輝き続ける傑作にして、日本のクイーン遺伝子アルバムでは他の追随を許さない、モダーンでグラムでキッチュでシアトリカルな、大名盤となっている。

ザ・ロックローリーのパーソネルは、以下の3名。

ROLLY (ギター他)永井ルイ(ベース他)小川文明(キーボード)

ドラムには、元チューリップの松本淳(現GUEEN!)や、小畑ポンプなど、曲ごとにゲスト参加の形をとっている。これらのメンバーは、日本のクイーンサウンドクリエイターの超一流のオマージュパーソンであり、彼らが結集して作られた『ROLLY’S ROCKROLLY』はクイーン遺伝子度200億%の、全宇宙激震サウンドだったのだ!!

96年当時、著者をクイーン遺伝子の底なし地獄に叩き込んだ今作を、もう一度深く味わい、その魅力を全力で掘り下げ『ROLLY’S ROCKROLLY』の真価を問うてみたいのでR。(不勉強な点などはご指摘頂きたい)

1, THIS IS THE ROCKROLLY(恐るべきロックローリー)

この9分間の1曲目こそが、レコード会社に眉をひそめられた曰く付きの楽曲だ。『DOUBLE DOUBLE CHOCOLATE』で披露したディズニー風ロックミュージカル「HAPPY WEDDING」の延長線にある、ディズニー&クイーン風ロックミュージカルの完成形にして、ローリー寺西の要素がこれでもかと詰め込まれた、ショーケースと言っていいだろう。演劇要素をふんだんに取り入れた、怪演役者ROLLYの魅力も十二分に伝わって来る。

因みに冒頭のバンドが演じる“うーらぎられてもー、うーらぎられてもー、僕を待っててよー”という曲は、すかんちの「恋の1,000,000$マン」である事は言わずもがなだ。

2, 虹をつかんだお話(STORY OF CATCH THE RAINBOW,THE)

そして、間髪入れず始まる2曲目は、ROLLY&永井ルイのQUEEN愛が頂点に達している超絶名曲だ。

ROLLYはクイーンの『オペラ座の夜』の1曲目「Death on Two Legs」初めて聴いた時の感想を“古城のビロードの絨毯が敷いてある地下室の階段から響いてくるようなサウンド”と事あるごとに評しているが、まさに、この曲のイントロでそれを再現している。

さらに、太田裕美「赤いハイヒール」のメロディも要所で聴こえてくるから要チェック。最近のROLLYのツイートでも、この曲への思いを吐露している。

因みに、永井ルイ氏は1999年にストレンジデイズ・レーベルから発売した、Ruis Hipslips名義(ドラムは松本淳!)のアルバム『秘密の宇宙旅行』収録の「夢ある楽園」で「虹をつかんだお話」をオマージュしたサウンド披露している。

3. あの娘はマーメイド

そして3曲目はエジソン・ライト・ハウスの「恋のほのお」をオマージュした「あの娘はマーメイド」。近年はROLLY&GlimRockersのナンバーとして披露している。何やらフィンガー5あたりも混ざってそうな予感だ。

4, いかしたハイヒールブーツ

グラムロック調の、ブギーアレンジが気持ち良い一曲。(この曲のオマージュ元は不明だ)

5, メタモルフォーゼは4倍なのです(拝啓、松本詠一様)

はっぴいえんどの松本隆と大滝詠一を合体し、松本詠一という名を冠したタイトルにしている。
チューリップの「夢中さ君に」へのオマージュが冒頭のイントロに含まれている。

6, 愛しのデロリアン

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシン、デロリアンを歌った曲だが、女性とのダブルミーニングが入っている。

中間部のギターリフはMUDの出世作「Dyna-Mite」が入っているようだ。

7, ファニーフェイス

こちらは近年、ROLLY&GlimRockersのライブでも良く演奏されている楽曲だ。2017年に発売された『Rolly Comes Alive!』では、クイーンの「Hammer To Fall」のギターリフに入れ替わって収録されているから聴き逃せない。

8, ロデオ(CRAZY HORSE)

こちらは曲名どおりハードカントリーな曲調。Neil Young & Crazy Horseへのオマージュがあるかどうかは不明だが、個人的には、長谷川智樹とのタッグで、高橋瞳に提供した傑作オペラ「鏡の中のフェアリーテール」に通じる、牧場ロックオペラの原型と捉えている。

9, 私のアイドル(歌は生きている)

チューリップ「私のアイドル」のカヴァー曲。原曲に忠実にアレンジは、後の『70年代の日本のロックがROLLYに与えた偉大なる影響とその光と影』シリーズに通じる耳触りだ。元チューリップの松本淳がドラムを叩いているというのがポイント中のポイント!

10, メイクマジック・ルージュマジック

こちらは、天馬ルミ子 「教えてください・神様」をロック調にしたオマージュナンバー。

更に、近田春夫&ハルヲフォンの「グローリアのうわさ」の一部分や「恋のパレット(ラヴ・カラー)」を、エンディングのフレーズで拝借している模様だ。

11, 白い寫眞館

この楽曲は、本作白眉中の白眉だ。中村雅俊の「白い寫眞館」を、クイーンの「Millionaire Waltz」アレンジに仕立ててしまった超人的な所業だ。永井ルイ氏のベースラインもキレキレだし、小川文明氏のワルツ調のピアノも素晴らしい。ROLLYのギターソロは、同曲のブライアン・メイの特徴を良く捉えている。余興的と言ってしまえばそれまでだが、並々ならぬクイーン愛&歌謡曲愛が結晶した名演だ。

12, HE IS SO FINE

こちらは、当時めずらしくプロモーションビデオが制作されたインスト風の曲。Ted Nugentの如くギターキッズと化して弾きまくるROLLYの姿が確認できる。

尚、今作『ROLLY’S ROCKROLLY』のジャケットはTed Nugentの『State of Shock』を模範としていると思われる。

13, 鏡の中のピエロ

今作の最後を飾るアンニュイなバラード曲。道化師として振る舞い、生涯エンターテイナーとして生きる事を誓った、ROLLY自身の内観を歌にしたような楽曲だ。歌詞に登場する“ライザ・ミネリ”は、フレディ・マーキュリーがリスペクトする数少ないシンガーの1人。同じ道化としてフレディとの共通性を宿したROLLY。「鏡の中のピエロ」はフレディのソロ作「グレート・プリテンダー」に通じるテーマ性を持っている。

・・・以上、オマージュ元の音源などを織り交ぜながら、考察を行ってみたが、私のようなロック無学者には開ける事の出来ないパンドラの箱が、まだまだ潜んでいる。

 『ROLLY’S ROCKROLLY』で、ROLLYの類まれなる個性が、濃縮還元の形で当時、世に放たれたわけだが、レコード会社の理解を勝ち取るまで行かず、一部の熱狂的な好事家に受け入れられるに留まった。その後、槇原敬之プロデュースの「Name of Love」 (98)や、デジロックにメタモルフォーゼした「SOS ’99」 (99)などを発表するが、すかんち時代ほどの評価を得る事はなく、ROLLYは活動の場を舞台や映画やタレント業にシフトして行ったように思われる。

 満を持して、2015年にROLLY’S ROCK CIRCUSがリリースされたわけだが、ROCKROLLYプロジェクトが生きていたという事に、私は椅子から転げ落ち、咽び泣き、喜んだ。それはとりもなおさず、ROCKROLLYこそがROLLYのソロキャリアの本線であり、立ち返るべきプラットホームであると感じ、ROLLY自身もそれを思っていたと、強く感じ取れたからだ。

 『ROLLY’S ROCKROLLY』の23年後にリリースされた『ROLLY’S ROCK WORKS』において「天地創造~Eejanaika」という1曲目らしからぬ楽曲を再び持ってきて「ソロデビュー作でさんざんな目にあったのに全く懲りていない」と語っていたROLLY。気骨あるアーティストシップを感じると共に、そのような環境を勝ち取るのに23年の歳月がかかったとの事なのであろう・・・。

 当時、日本のシーンから見過ごされたかもしれない『ROLLY’S ROCKROLLY』は、20年以上の時を超えて輝き始めるオーパーツの如く、コロナ禍でたっぷり時間のある今こそ、聴かれるべきアルバムだ。

 そして、今作を含めた2000年前後のROLLYのソロ作品のBOXセットの発売、更には『ROLLY’S ROCKROLLY』を凌ぐドラスティックで、ドメスティックで、デコラティブで、ダイナマイトな、完全新作オリジナルアルバムを完成させ、更にはそのアルバムを引っ提げて、武道館単独公演を行って頂きたいと、夢に見て、切に願う。

 個人的には、『ROLLY’S ROCKROLLY』をクイーン遺伝子名盤として、先んじて、自身の棺桶に入れておこうと思う。

南無合掌。

2020.10.17 VARUBA


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