【ボートラ付き国内盤希望】ブライアン・メイ円熟自叙伝アルバム『Golden Days』を全楽曲レビュー!!

2018年6月現在、アダム・ランバートをフロントに据えて、QUEENリユニオン・ツアーに精を出しているレジェンド・ギタリストこと、ブライアン・メイ。
彼が音楽界やロック界に残した功績ははかり知れないし、枚挙に暇はないだろう。
そんな、誰もが認めるブライアン・メイの最新デュエット作が昨年2017年の4月にリリースされた。

かの世界的ロックバンドQUEENのギタリストのフルレンジ・アルバムにもかかわらず、
あまり話題になっていないし、日本盤がリリースされた形跡も見受けられない(!)

ケリー・エリスとの共作である事や、全体的にカヴァーが多めの、肩の抜いた作風である事を加味したとしても、日本国内の需要はもっとあるのではないだろうか??
ぜひ、未発表のボートラを5曲位つけて(!)日本盤をリリースしてほしい期待をこめつつ全曲解説をし、今回のアルバムの魅力を掘り下げてみたい。

1,Love In A Rainbow

ケリー・エリスの伸びやかなヴォーカルと、ブラインの卓越したアレンジ感覚が融合した良作だ。全体的にはレッド・スペシャルをひっこめて、アレンジ力で聴かせている感がある。
シタールなどを使い、中近東的な音階は「ムスターファ」等も想起させる。アレンジャー、ブライアンが全面に出た一曲だ。

2,Roll With You

うってかわって、小気味よいロックチューンだ。ケリーもコブシを効かせてロックシンガー然とうたっている。レッドスペシャルも唸りをあげてくれている。
ブライアンのソロ作に入っていそうな、ライブ受けしそうな楽曲だ。

3,Golden Days

こちらは、知る人ぞ知る、80年代にブライアンが本田美奈子に書き下ろした楽曲のセルフリメイクだ。アジアンな音階に、日本の情景を想起させてくれる美しいメロディラインだ。
「預言者の歌」でおもちゃの琴をつかったり、「手をとりあって」で日本語をつかったり、津軽じょんがら節からピッキングを学んだり、クイーン初期から日本びいきだったブラインの一貫した日本リスペクトがこの曲にも顕れている。

4,It’s Gonna Be All Right (The Panic Attack Song)

この曲もブライアンらしい、ポジティブなロックチューンだ。メジャーキーを多用した、屈託のないポップソングに仕上がっており、ケリー・エリスのパーソナルがとてもよく表現されている。

2021年コロナ禍バージョン「Panic Attack 2021 (It’s Gonna Be All Right)」はこちら。

5,Amazing Grace

言わずと知れた、賛美歌の代表曲だが、「ラブオブマイライフ」を彷彿とさせるアコースティックギターがなんとも嬉しい。公式に上げている動画が、ブライアンの大好きなハリネズミがモチーフになっているのが何とも微笑ましい。

6,One Voice

こちらも、ポピュラーな賛美歌のひとつだ。後半のレッド・スペシャルの盛り上がりが、クイーン楽曲のようだ。「愛にすべてを」など、ゴスペル風の曲が多いクイーン。レッドスペシャルが当然マッチするに決まっている。

7,If I Loved You

こちらは、1958年にロジャース&ハマースタインが作曲したブロードウェイミュージカル『回転木馬』の中の一曲。きっと、ブライアン少年が聴いて育った思い出の一曲なのだろう。

8,Born Free

ジョン・バリーが1966年に映画『野生のエルザ』のサウンドトラックで発表した楽曲だ。動物愛護をライフワークにしているブライアンの心情がたっぷりつまった壮大な一曲にアレンジされている。

9,Parisienne Walkways

ギターゴッドの一人、Gary Mooreの78年作『Back On The Streets』からの楽曲。本家に負けず劣らず、ブライアンもねちっこいレスペを聴かせてくれている。

10,I Who Have Nothing

ザ・ヴォイスこと、トム・ジョーンズの「アイ(愛の告白)」でヒットした楽曲を、暑苦しくカヴァーしている。イタリアでの原曲は “Uno dei tanti”(カルロ・ドニーダ作曲)というカンツォーネが元ネタだ。

11,The Kissing Me Song

しばらくカヴァーが続いたが、4曲目以来の、ブライアンとケリーのオリジナル楽曲だ。こちらもメジャーコード中心のポップソングだ。ギターソロが「ドントストップミーナウ」のようで、疾走感も感じられる。

12,Story Of A Heart

こちらの楽曲はベニー・アンダーソン(ABBA!)が2009年に発表した曲のカヴァーだ。「ダンシングクイーン」と「ボヘミアンラプソディー」が立て続けにヒットして、同時期に売れっ子グループになったQueenとABBAだが、ここに来て奇跡的な邂逅を見せている。

13,Can’t Help Falling In Love

こちらも、有名な楽曲「好きにならずにいられない」。エルヴィス・プレスリーが1961年に発表したプレスリーの代表的なバラードだ。近年ではUB40のカヴァーが有名で、日本で馬鹿売れした洋楽コンピNOW1に、この曲とクイーンの「伝説のチャンピオン」が収録されていたので、近年の洋楽ファンにはなじみ深い楽曲だ。

・・全体的な感想としては、ブライアン・メイの自叙伝的な様相を呈したアルバムではないだろうか。レッド・スペシャルは当然の活躍ぶりだが、アレンジャーとして、ケリーのヴォーカルを際立たせるのは無論、カヴァー曲の古今のスタンダードナンバーが走馬灯のように、ブライアンの人生を我々に提示してくれているようだ。クイーンファンとして、レッド・スペシャルの響きを聴けるだけでも感激でしかないのだが、70歳を越えた今のブライアンにしか作れない、なんとも温かみのある、アルバムに仕上がっている。

必聴!!

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